718 音楽学専攻演習 |
金 2時限 2単位 沼野 雄司 教授 |
調布 |
学部 3年~ |
授業の概要
「臨界領域からみる20世紀音楽」
20世紀の音楽、いわゆる「現代音楽」とよばれる一群の音楽は、一般的にはベートーヴェン→ワーグナー→シェーンベルク→戦後の前衛・・・といったクラシック音楽内における進歩の系譜で整理されている。しかし、ここで決定的に欠落しているのは、同時代にどのような音楽や諸芸術が存在し、どのような相互作用が起こっていたのかを探る視点である。ごく簡単な一例を挙げるならば、「新古典主義」と呼ばれる音楽は同時代のジャズとの関連を抜きにしては語れない。また、抽象画の登場を無視して無調音楽は十分に説明できないし、初期電子音楽と映画音楽には切っても切れない関係がある。
本演習では、一般的な20世紀音楽史を、こうした臨界領域との関係において考察する。この過程で我々は、いわゆる「現代音楽」と美術、彫刻、建築、文学、映画、民族音楽、ジャズ、ポピュラー音楽などとの密接な関係を知ることになるだろう。
毎年そうなのだが、この演習は何か教員が「答え」を持っていて、それを全員に伝授するというクラスではない。教員さえもモヤモヤしていることについて、全員で考察を加え、いわば共同研究体制を敷きながら対象に向かってゆくというのが基本的な姿勢である。
ゆえに音楽学3、4年時の必修授業ではあるが、さまざまな専攻の学生にもおすすめしたい。とりわけ音楽大学には「演習」形式(いわゆる「ゼミ形式」)の授業が少ないために、大学ならではの知的な議論の場を求めている学生にはよい機会になるものと思われる。興味のある方は、ぜひこの共同研究に参加してほしい。
シラバスにおける毎回のテーマはあくまでも暫定的なものであり、初回のクラスで詳細なプランを配布する。
到達目標
各人が自分の頭で考え、議論に参加できるようにすること。
履修資格/履修に必要な予備知識や技能
予備知識は一切必要ないが、積極的に考え、発言する姿勢が求められる。
授業の形式
演習形式(輪番制で発表を行なう)。
また、人数が多すぎた場合には一定の選抜を行なう可能性がある。
成績評価の要点
試験 | 小テスト等 | レポート | 発表・作品 | 出席率 | 授業への取組 |
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○ | ○ | ○ |
発表と授業への貢献度
授業展開と内容-前期
内容 | |
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第1回 | イントロダクション |
第2回 | 後期ロマン派の臨界領域 |
第3回 | 無調音楽の臨界領域 |
第4回 | 12音技法の臨界領域 |
第5回 | 新古典主義の臨界領域1 |
第6回 | 新古典主義の臨界領域2 |
第7回 | 1930年代の混沌 |
第8回 | 第三帝国における芸術 |
第9回 | ムッソリーニ政権およびヴィシー政権における芸術 |
第10回 | 第二次世界大戦と芸術1 |
第11回 | 第二次世界大戦と芸術2 |
第12回 | まとめ1 |
第13回 | まとめ2 |
第14回 | まとめ3 |
第15回 | 総括 |
事前・事後学習-前期
授業展開と内容-後期
内容 | |
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第1回 | 後期のイントロダクション |
第2回 | セリー主義の臨界領域 |
第3回 | 電子音楽の臨界領域 |
第4回 | 不確定性の臨界領域 |
第5回 | 超絶技巧作品の臨界領域 |
第6回 | クラスター作品の臨界領域 |
第7回 | 引用音楽の臨界領域 |
第8回 | ミュージック・シアター |
第9回 | ミニマリズムの臨界領域1 |
第10回 | ミニマリズムの臨界領域 |
第11回 | 新ロマン主義の臨界領域 |
第12回 | 1990年代の臨界領域 |
第13回 | 2000年代の臨界領域 |
第14回 | まとめ1 |
第15回 | まとめ2 |
事前・事後学習-後期
授業時間以外で、この授業内容等について質問がある場合
水曜日12時~14時など。ただしあらかじめメール(numano@tohomusic.ac.jp)でアポイントメントをとることが望ましい。
場所:調布2号館(図書館)1階、研究室1
テキスト
書籍名 | 著者名 | 発行年 | 価格 | ISBN | 備考 | |
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1 |
教材
適宜、プリントなどを配布する。