3085,3086 音楽学特殊研究A①(a)(前期),(b)(後期)

水   4時限
各1単位
伊東 辰彦  特任教授
調布
修士 1年~

授業の概要

音楽文化一般について書かれた文献を講読し、それに基づいてディスカッションを行う。(必要に応じて日本語以外の文献を参考にすることもある。)そうした作業の継続を通して、音楽文化についての知見を深め、実際の演奏の場や学術的な発表の場において役立たせる。今年度は、自らの関わっている音楽という文化について俯瞰し、その意味について、ジャーナリスティックな観点から客観的に理解することができるようになることを学ぶ。それは、今後のキャリアにおいて、音楽を専門としない人たちとのコミュニケーションを図る上でも必要な見識となる。

到達目標

個々の学生の専門領域によっても異なるが、自らの関わっている音楽という文化について俯瞰し、その意味について客観的に理解することができるようになることが重要である。音楽が人間社会においてもっている意義について、各学生の、現在、及び将来における音楽家、音楽研究者としての自覚を促したい。

履修資格/履修に必要な予備知識や技能

大学上級程度の一般的知識に加えて、楽典、西洋音楽史に関する基礎知識を前提とする。

授業の形式

講読とディスカッションを自由に組み合わせる。
原則3回(後期は2回)のクラスを1Unitとして、各Unitは、講読、及び講義と学生の個人発表の組み合わせとする。

成績評価の要点①

試験提出課題・作品発表等受講姿勢
85%15%

成績評価の要点②

成績評価は、上記の項目についてそれぞれの配分で総合的に判断し、 A, B, C, Dで評価する。
前期は、各章毎に、小論文(A4で2枚程度)の提出(計6回、各10%、計60%の配点)と、口頭発表(計5回、各5%、計25%)を行うこととする。
後期は、各章毎に、小論文(A4で1枚程度)の提出(計8回、各6.25%、計50%の配点)と、口頭発表(計7回、各5%、計35%)を行うこととする。

課題に対するフィードバックの方法

提出の次回授業時に、クラスで返却しフィードバックする。

授業展開と内容-前期

内容
第1回

導入と序章:「交響曲はいかにしてコンサートの主役になったのか」(1):コンサートをめぐる問題

該当資料を読んでくること。

60

講義ノートの整理。

60
第2回

序章:「交響曲はいかにしてコンサートの主役になったのか」(2)「絶対音楽」の理念と戦後のドイツ音楽学

該当資料を読んでくることと、口頭発表(1)の準備。

180

講義ノートの整理。

60
第3回

第1章:「言葉にできない音楽」(1):ロマン主義と美学とミメーシスからの解放

序章に関するエッセイ(1)の準備と提出、及び該当資料を読んでくること。

180

講義ノートの整理。

60
第4回

第1章:「言葉にできない音楽」(2):音楽ジャーナリズムの隆盛と音楽語り

該当資料を読んでくることと、口頭発表(2)の準備。

120

講義ノートの整理。

60
第5回

第2章「オペラの覇権」(1):ヨーロッパを制したオペラ

第1章に関するエッセイ(2)の準びと提出、及び該当資料を読んでくること。

180

講義ノートの整理。

60
第6回

第2章「オペラの覇権」(2):階級を超えるオペラ

該当資料を読んでくること。

60

講義ノートの整理。

60
第7回

第2章「オペラの覇権」(3):オペラの柔軟性

該当資料を読んでくることと、口頭発表(3)の準備。

120

講義ノートの整理。

60
第8回

第3章「コンサート市場を成立させたもの」(1):コンサートにおける器楽とオペラ

第2章に関するエッセイ(3)の準備と提出、及び該当資料を読んでくる。

180

講義ノートの整理。

60
第9回

第3章「コンサート市場を成立させたもの」(2):コンサートのエリート主義とポピュラー化

該当資料を読んでくること。

60

講義ノートの整理。

60
第10回

第3章「コンサート市場を成立させたもの」(3):オペラ頼みのプログラムと過去の音楽

該当資料を読んでくることと、口頭発表(4)の準備。

120

講義ノートの整理。

60
第11回

第4章「交響曲の正当化と受容」(1):反復される交響曲

第3章に関するエッセイ(4)の準備と提出、及び該当資料を読んでくる。

180

講義ノートの整理。

60
第12回

第4章「交響曲の正当化と受容」(2):聴くことと理解すること

該当資料を読んでくること。

60

講義ノートの整理。

60
第13回

第4章「交響曲の正当化と受容」(3):交響曲の国際的受容

該当資料を読んでくることと、口頭発表(4)の準備。

120

講義ノートの整理。

60
第14回

第5章「言葉にできない音楽の言葉による領有」(1):代弁する批評家の共同体」、「楽譜の正典化と演奏家の制限」

第4章に関するエッセイ(5)の準備と提出、及び該当資料を読んでくる。

180

講義ノートの整理。

60
第15回

第5章「言葉にできない音楽の言葉による領有」(2):「イベントとテクスト」

該当資料を読んでくることと、口頭発表(5)の準備。

120

第5章に関するエッセイ(6)の準備と提出(第15回の1週間後)。

120

授業展開と内容-後期

内容
第1回

第1章「芸術の送り手は誰を意識したか」(1)

該当資料を読んでくること。

60

講義ノートの整理。

60
第2回

第1章「芸術の送り手は誰を意識したか」(2)

該当資料を読んでくることと、口頭発表(1)の準備。

120

講義ノートの整理。

60
第3回

第2章「自意識と流行」(1)

第1章に関するエッセイ(1)の準備と提出、及び該当資料を読んでくること。

180

講義ノートの整理。

60
第4回

第2章「自意識と流行」(2)

該当資料を読んでくることと、口頭発表(2)の準備。

120

講義ノートの整理。

60
第5回

第3章「ナショナリズムの現れ方」(1)

第2章に関するエッセイ(2)の準備と提出、及び該当資料を読んでくること。

180

講義ノートの整理。

60
第6回

第3章「ナショナリズムの現れ方」(2)

該当資料を読んでくることと、口頭発表(3)の準備。

120

講義ノートの整理。

60
第7回

第4章「ナショナリズムの現れ方」(1)

第3章に関するエッセイ(3)の準備と提出、及び該当資料を読んでくる。

180

講義ノートの整理。

60
第8回

第4章「ナショナリズムの現れ方」(2)

該当資料を読んでくることと、口頭発表(4)の準備。

120

講義ノートの整理。

60
第9回

第5章「体制と芸術における規模」(1)

第4章に関するエッセイ(4)の準備と提出、及び該当資料を読んでくる。

180

講義ノートの整理。

60
第10回

第5章「体制と芸術における規模」(2)

該当資料を読んでくることと、口頭発表(5)の準備。

120

講義ノートの整理。

60
第11回

第6章「技術進歩がもたらす平等化」(1)

第5章に関するエッセイ(5)の準備と提出、及び該当資料を読んでくること。

180

講義ノートの整理。

60
第12回

第6章「技術進歩がもたらす平等化」(2)

該当資料を読んでくることと、口頭発表(6)の準備。

120

講義ノートの整理。

60
第13回

第7章「政治体制と音楽家」(1)

第6章に関するエッセイ(6)の準備と提出、及び該当資料を読んでくること。

180

講義ノートの整理。

60
第14回

第7章「政治体制と音楽家」(2)

該当資料を読んでくることと、口頭発表(7)の準備。

120

講義ノートの整理。

60
第15回

第8章「言葉、音楽、デモクラシー」(1)

第7章に関するエッセイ(7)の準備と提出、及び該当資料を読んでくること。

180

第8章に関するエッセイ(8)の準備と提出(第15回の1週間後)。

120

オフィスアワー

水曜日のクラスの前後、またはメールアドレスへの問い合わせ。

テキスト

書籍名著者名 発行年 価格 ISBN備考
1

コンサートという文化装置:交響曲とオペラのヨーロッパ近代化

宮本直美

2016¥2,200

978-4-00-029185-9

前期に使用

2

社会思想としてのクラシック音楽

猪木武徳

2021¥1,600

978-4-10-603867-9

後期に使用

教材

上記図書2種類。